中国あれこれ  その3  北国の冬(ハルビン)

 

「正月のハルビンへ行った。」と言うと、ほとんどの中国人が「ヘー!」と感心してくれます。大連人、北京人、上海人、西安人、広東人に遼寧人です。長春に留学していた日本人だって「寒かったでしょう?」と言ってくれます。

そう、寒さには強いハズの北方中国人にとってさえ、「冬のハルビン」つーのは“メチャ寒い所”の代名詞なのです。緯度的には稚内と樺太との間、そうや!宗谷海峡(サブー!)の辺りなのですが、両極を除いて地上で一番冷え込むシベリアからの極寒の高気圧(気団)を直接受けて、ハルビンはグングン冷えます。

冬のハルビンへ行く前に、岡崎はインターネットで気温をチェックしておりました。正月が近づくと、“最高”気温が氷点下20度なんつー日がありました。我が家の冷凍庫の中よりも寒い所。その中に550万人だかの人々が暮らしているつー事実。まあ、ハルビンが省都である、黒龍江省の面積だけで日本の1.2倍ですから寒さも桁違いなんでしょうねえ。

などと思いながら行った「正月のハルビン」の様子です。

富山の人は「雪が大変だろうなあ。」と思うのですが、路上にはほとんど雪はありません。それが何より証拠には、タクシーはノーマルタイヤで走ってます。そりゃあ水を撒けばタチドコロに凍りますが、路上は押しなべて何もありません。

しかし、その風景たるやSFチックであります。マイナス20〜40度になると鳥は飛べません、犬や猫も歩けません。動いている生き物は、人とロバ、この2種類のみ。動いているものは、それに自動車と自転車。この合計4種類が動いているモノのすべてです。

空は当然快晴のハズなのですが、スモッグの影響もあるのか常に鈍よりとしています。それでも、その弱い日光が照らしている場所と、日陰の場所とでは間違いなく温度が違います。それと、風が吹いている場所とそうでない所でも確実に寒さが違います。ですから歩きながらでも、風の当る場所と日陰とを避けて歩いていました。

その大気の中で、路上に寝そべって営業している乞食さんを3回ほど見ました。現代中国では乞食営業は法律違反です。歩道に体を投げ出し、蓑虫のようにぼろきれにくるまって、わずかに覗かせた手のひらをたまさか動かす、という動作を飽きることなく(そりゃあそうじゃあ、あれで動かなかったら粗大ゴミじゃあ)、繰りかえすのみなのです。空き缶の中はほとんど無かったけど、岡崎だったら「時給2万円」と言われてもお断りします。(^^;)

あの寒さの中であんだけ長時間耐える根性があれば、何だって出来るような気がしましたね。あ、そうそう正月のハルビンの呼び物は「氷祭り」です。札幌は雪祭りですが、ここでは松花江(水の量は神通川の数百倍〜数千倍)から切り出してきた氷を利用して色んな彫刻や、滑り台等のモニュメントをこさえて、中に色とりどりの電飾をほどこすのです。

材料の氷はタダですから、あとは熱意のみ。

中国全土はもとより、ロシアや米国など海外からも大勢の観光客が訪れています。会場の公園はもう山王さん以上の賑わいで押すな押すなの大騒ぎ。中へ入ると、子供達は氷のスロープ(滑り台)ではしゃいでいたり、氷の迷路やテーマ館(全部氷ですが)で写真を取ったりと、正にファンタスティックな一夜でした。

# おまけ:ハルビン ビールについて。

本場ドイツの次にビールの消費量が多いのは中国であります。中国人の酒と言えば大抵の皆さんが思い浮かべるのは、紹興酒に代表される「老酒」(中国では黄酒)だと思うのですが、オカザキのテリトリー(?)の北京以北では殆んど飲まれていません。街の食堂に行ってもまず置いてありません。(勿論3つ星以上のホテルにはあると思いますよ、多分)

今でも中国人にとって、「酒」とは、白酒(パイジュウ)すなわち焼酎です。

ただ、アルコール度数が55%〜66%もありますんで、余り強くない人はやはりビールを飲みます。で、このビールがまた安い!大瓶で3〜5元(45〜75円)ですから、ミネラル水よりも安いのです。ハルビンビールは全国的にもメジャーなビールでして、かの有名な青島ビールにも勝るとも劣らない実績があります、少なくとも地元ハルビンではね。

(^^;)(^^;)

最初ハルビンに行った時はあせりました。酒を買おうと思ってホテルの周りを歩き回ってみたのですが、どこにも「酒店」が見当たりません。翌朝友人のハルビン人に聞いたら何と!酒なんぞどこの店でも売っているから、特別「酒店」なぞナイのだそうです。(^^;)

と言われてみれば、街角の露天にもビールが並んでいるし、そこいら中にある食堂へ行けばいつでも飲めるのでした。食堂を始めとしてサービス業は“店が開いていれば営業中”でして、早朝であろうが深夜であろうが、扉が開けば「いらっしゃい!」の世界です。

街の食堂での飯の食べ方については、稿を改めます。

 

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